そろそろはじめましょうか。


もう半年以上間があいてしまいましたが、それでもぽつりぽつりと来てくださる方がいらしたようで
なんとかまた書きとめていこうと思います。


停電の夜に (新潮クレスト・ブックス)

停電の夜に (新潮クレスト・ブックス)


主人公はベンガル系が多く、結末では求めていたものが必ずしも与えられるわけではありません。それでもきめ細やかな描写には肌が毛羽立つような錯覚を覚え、しみじみとした何かに満たされました。かつて愛しあっていた夫婦が言ってはならぬことを口にしてしまう表題作の他、異国で暮らすよるべなさが沁みる「セン夫人の家」や10歳の男の子による定義に痺れる「セクシー」など粒が揃っていますが、殿をつとめる「3度目で最後の大陸」が時空を超えた広がりを持つ作品です。