『過去のない男』


記憶を失くして名前すら思い出せない男がゼロから重ねていく日常の物語。


観ていたらなぜかテーブルに一列についた人々がコップの水を順番に手渡して飲んでいくようなところを思い浮かべました。
コップはくすんでひびが入っているし、当然水もミネラルウォーターなんかではなく錆びた水道のうっすら赤茶けたような水だったりするんだけど、皆そんなこと全然気にせずにコップの水をぐいぐい飲み干して、自分が持っている水を注いで隣の人に手渡す。その量もまちまちなんだけど、誰も文句ひとついわず、ありがとうとも言わない、別に普通のことなんだというような。大人のための心優しい映画でした。クレイジーケンバンドで日本人ならさらに嬉しいことまちがいなし。ハンニバルも可愛い。