『海を飛ぶ夢』

生を全うするために、死を願うのは間違っていますか。
事故により四肢が麻痺した男性が願う生の証とは……

アカデミー賞及びゴールデングローブ賞の外国語映画賞受賞作。
よくできたフィクションだ、と思ったら実話だそうだ。驚く。

ラモン・サンペドロは25歳で身体の自由を失って以来、寝たきりの生活を送っている。
家族からは献身的な愛情を注がれているし、異性の友人もいる。
でも自分の王国はない。自由なんてどこにもない。

触れ合い、口づけることを思う時、想像はあんなにも素敵なのに、実際には指一本動かすこともできない。ベッドに縛り付けられ、無神経な言葉が降ってくる日々。

問いかけてくるものがあまりに重く、どう受け止めていいかわからない。
言葉にならない。

彼を喪う人の心情を考えても、ラモンが死を望むのは誰にも、何にも止められなかったのだ…ということだけなんとか理解できた気がします。

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