『エイプリルの七面鳥』
絶縁状態にあった母の余命がいくばくもないことが分かり、恋人の勧めで娘のエイプリルは感謝祭に好物の七面鳥を焼いて家族をもてなすことにする。が、台所に立ったこともないエイプリルの手つきは危なっかしいこと極まりない。そのうえオーブンは故障、強情な彼女も助けを求めてアパート中をかけずり回るはめになる。同時に家族一行を乗せた車もエイプリルの家に向かうが、その合間に母のジョーイは積年の怒りと憎しみを夫や子供たちにぶちまける。何度も引き返そうとする母、くじけそうになるエイプリル。
去年観た映画のうちベスト3に入る1本(あとは『ビッグ・フィッシュ』と『グッバイ、レーニン!』)です。エイプリルにまるごと感情移入してしまった前回よりかなり冷静に観ることができたかな、と思います。そうなると目が行くのが母のジョーイですが、まだまだ彼女の心情を自分のものとして感じるには至らないけれど、一人車から降りてしまったとき、そしてトイレでふと過去に立ち返ったときの無防備さにはこらえきれませんでした。
母親役のパトリシア・クラークソンはこの映画について「『後悔しながら生きてはいけないということよ』とシンプルに答えた」のだそうです。
笑いながらも傷つけられて、そしていとおしく思える映画です。
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