『父、帰る』
ある朝、写真でしか知らなかった父が帰ってきた。
12年間の空白を埋めるために父と息子ふたりは旅に出たものの、過去を黙し、言葉少なに多くを受け止めさせようとする父と、従う兄に反発する弟。その緊張が頂点に達した時何が起きるのか……
一本の道筋に多くのモチーフが繰り返し用いられ、静かに三人を追いつめてゆく様子がスリリングです。同時に、キリスト教色がとても強い映画です。私もあまりよく分からなかった…。父と子の物語とも解釈できるけれど、状況説明や台詞がかなりそぎ落とされているので、その観点だけで感情移入することは難しいように思います。
父はどこに行っていたのか。なぜ戻ってきたのか。祖母と母はなぜ何も言わないのか。息子ふたりはどうするのか。謎は謎のまま残され、ふと考えこまずにいられないような、忘れがたい余韻が残ります。
落ち着いた色調の風景に透明感があり、美しくも新鮮でした。
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/04/08
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